日記

2022-12-04 10:55:00

同じ薫香原料でも香りは異なる

薫香料の香りを感じながら調香し自分のお香を作る方が増えています

以前は、お香の香りがしていたら「お仏壇のニオイ」「おばあちゃんのニオイ」「樟脳(タンス)のニオイ」なんて言われていましたが・・・

とても風雅な趣味を持っていると思っていただけます。アリガタイ・・・

 

さて、私もお香講座を開催しておりまして、その準備に「薫香原料」を購入します

一つの店舗だけではなく、異なったお店から仕入れることがあるのですが、お香に使う薫香料の内、二つについてはお店によって色も香りも全く異なることがあります

例えば「安息香(ベンゾイン)」と「桂皮(シナモン)」

店舗で販売されている際の主な表記は「安息香」と「桂皮」です。ネットは、より詳細に記載する必要がありますので(購入者の誤解によるトラブルを防ぐため)産地などについても記載してあることが多いのですが、店舗によっては簡単に品名と金額だけのところが多いです

でも、香りを比べてみると違っている・・・。とくにこの二つは分かりやすいです

 

野草もそうなんですが、精油や香材についても産地によって香りも味も異なりますし、その年の気候などによっても変わります

それぞれの産地の個性。自然由来のものを使っているので当たり前のお話。むしろ「いつ買っても同じ香り」の方が心配なのですけど

いつも変わらず「○○な香り」ってことはないのです

 

今回は、前回と異なったお店から仕入れた「安息香」「桂皮」が分かりやすく異なっていたのでご紹介すると・・・

 

安息香は、シャム(ラオス、ベトナム、タイなど)かスマトラ(インドネシア周辺)かの違い。シャムはバニラ特有の芳香成分である「バニリン」の含有量が多いため、とても濃厚な甘い香りですし、スマトラはシナモン特有の芳香成分である「桂皮酸」の含有量が多いため、ややスパイシーさのある甘い香り

また、安息香は品質の違いで灰色だったり、白色だったり・・・。品質によっても、微妙に香りは異なってきます

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桂皮は、カッシア(広南、ベトナム:医薬品や薫香原料に使用)かシナモン(インドネシア、スリランカ:香料、食品)かの違いです

こちらは、安息香と比べて、写真では色味などは分かりにくいのですが、香りが「甘い香りとスパイシーな後味」のものと、「甘い香りでありながら、爽やか且つ強い辛味」で異なります

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分かりにくいですが、混ざっています(茶褐色と焦げ茶色)

 結局は好みなのですが、機会があれば比べてみるのも楽しいかと思います

調香すると、その他の薫香原料と調和することで感じる香りも異なってきますが

その時の薫香原料によって、同じ調香分量でも香りは異なります

同じカッシアを使っても、ロットで香りも変わりますし・・・(明らかに違う、ではありませんが)

 

一期一会の「わたしの香り」

調香はとても楽しく、神聖な儀式なのです