日記
赤色について萌える~建築主の思いが詰まった萌える建物との邂逅
一昨年から始まった【flat.maru】づくり
お仕事をしたり、講座をしたり、資料を読み込んだり・・・
落ち着いて過ごせる場所を探していました
で、出会ったこちらの物件
地元は離れますが、色々なご縁が繋がり、昨日内見させていただきました
実は、初めてGoogleマップで拝見したときに心を奪われたほど
住所を伺った日に、外回りを見に行ったほどなのです
このお家の『萌えポイント』を語り始めるとながーーくなるのですが、まずは外壁の色についてお話ししましょう
壁の色で萌える
この色は「潤朱(うるみしゅ)」に近い色
潤朱とは、くすんだ黄色がかった赤色のことをいいます
朱は、魔除けや厄除けの色であることは、みなさんよくご存じかと思います
巫女の袴、宮参り、小豆・・・
その色の壁にする・・・そこに意味を見出さないはずがありません!
赤色の起源~朱と弁柄と~
漆については、日本では紀元前5000年頃から既に生活に活用していました
その頃は、櫛や矢尻と矢柄の補強として使っていました。かごに塗ったものも、その頃の遺跡から出土しています
私たちの祖先には、その時代に既に
・漆を補強に使う知識
・かなり高度の技術を要する漆の採取(取扱)を確立していたこと
に驚かされます
赤色にも「朱」と「弁柄」とあるのですが、【辰砂(しんしゃ)=硫化水銀】【弁柄(べんがら)=酸化第二鉄】で、いずれも鉱石です
この鉱石を採取し、赤の顔料精製を行っていたことは遺跡から分かっています
辰砂の朱は、その他にも「丹(に)」と呼ばれます
三重県の谷遺跡や池ノ谷遺跡では、朱の付着した磨石や辰砂原、石棒の未製品などが発掘されており、三重県と「辰砂(朱、丹)」との関係の深さがうかがえます。松阪市で産出する鉱物の辰砂から作られる、水銀朱という赤色の顔料
その他は、徳島県阿南市の加茂宮ノ前遺跡でも、古代の赤色顔料「水銀朱」を生産したとみられる縄文時代後期(約4千~3千年前)の石臼や石きね300点以上のほか、朱が塗られた耳飾りが出土しましたね(4年ほど前かと・・・)
そして、岡山県で産出される弁柄(べんがら)は、土中の鉄が酸化した『酸化第二鉄』を主成分とする顔料
インドのベンガル地方で良質のものが採られたから「弁柄(ベンガラ)」と言われています
こちらも、ラスコーやアルタミラの洞窟壁画にもみられ、旧石器時代から使われた最古の顔料であり古代色
卑弥呼の時代には日本男性の入れ墨などにも使われていたとされています
特徴としては、経年変化に強く、日光による褪色がないこと
昨今では無害であることから、天然素材として見直され繊維製品への染色、オーガニック製品にも使用されるようになりました
古代遺跡の「同じように見える赤」でも、成分分析をしたところ、古代人は「朱」を「ベンガラ」を使い分けていたのではないかと思われるような報告もありました
こちらのお話 ↑ とても読みやすくて楽しいですから、お時間があればお楽しみくださいませ
今の時代に生まれたから分かった、この「朱」と「ベンガラ」
これらがどこから来たのか、どの様に使い分けられていたのか
そんなことを考えるのも、楽しいところです
また、これらが弥生時代や古墳時代にどのように使われていたのか
そして、当時の中国で広がりをみせていた神仙思想(しんせんしそう・主に不老長寿や仙人に関する思想)と、どのような関係があったのか、といったことについて考えても楽しい
赤に対する「宗教的思想」が、島国で他国との交流も少なかった時代に、同じような意味合いで「赤」を見て、尊んでいたのだとしたら・・・
そんなことを考えると、ちょっと楽しくなりませんか?
とにもかくにも...この家は「辰砂」ではなく「弁柄」でしょう
古来より陶器や漆器の赤色を出すために使われ、防虫、防腐、防錆効果もあるため
そしてなによりその色合いの美しさから、建物の塗装にも「弁柄」が好んで使われたようです
この家に感じた建築主のこだわりと願い
本当のところは分かりませんが、間違いなく建築主は「風雅な方」
そして、この「赤色」の壁は、その色(ベンガラ色)の防虫、防腐、防錆などの機能的な意味合いの他に、「不老長寿」「魔除け」などの意味も考えて、この色を選ばれたのでは無いか、と
そして、それは、この「数寄屋造り風」の外観もですが、内側の造作にも感じられました
このGoogleマップで始めて見たときにそれを思って萌えて
昨日、内見をして造作を見て確信する
でもって「ここで過ごしたい」という強い思い・・・
ということで、この家でこれからの活動(居住)が出来ることを願っています
多分、難しくても、それはそれでたまに外から見て萌えて気がする・・・
このおうち。とても大切に、心を込めて暮らさなければならない
そんな気がします
それほどに「思いの込められた素敵な家」でした
竹木舞漆喰の外壁
そして、漆喰には弁柄
和室の天井は網代天井
ガラスは大正ガラスに木サッシ・・・
置かれていたロッキングチェア
これで、本を読んだらどんなに素敵だろう〜
昨日の帰りついてからは、それを思って椅子の修理をネット検索
わたしにとってドストライクの家
この家で、とっておきの古文書読みたい・・・
家具も、全部メンテナンスして、大切に使いたい
こんなこだわりの建物と出会えてとても、とても幸せなのです
さて、どうなるでしょう・・・
ドキドキが止まらない感じですが、その時間も幸せなのです